1,妖精エアディアーサ(異世界官能小説家まんころね)





「あいたたた…」
 おそらく飛び回っていた家具に当たったのであろう、痛む手足をさすりながら、ころねは起き上がった。
「はぁ、これが異世界ッスか」
 ころねは疑いもせずに、この場所をそう決めつけた。
 少なくとも自分の部屋ではない。
 空は青い。
 草は緑だ。
 ころねの周りは木々で囲まれていて、数歩の距離に小道がある。
 その小道を辿った先に、城壁のようなものがある他には、特に変わったものはない。
 目の前を飛び回っている、小さな生き物を除けば。
「あー失敗した。街に飛ぶはずだったのになぁ」
 小さな生き物は、頭を抱えながら右へ左へ、羽をぱたぱたと動かして飛んでいる。
「あの、妖精さん、どうなってるッスか」
「ひゃあ!?」
 ころねが話しかけると、小さな生き物は飛び跳ねて驚いた。
 そして顔を隠して叫ぶ。
「どうなってるッスかってこっちのセリフよ!」
「え、なにがッスか。なにぶん私、異世界転生ははじめての経験でしてーー」
「そうじゃなくて! 股間! 股間の変なやつ!」
 悲痛の叫びに、ころねは自分の股間を見て、
「ああ」
 ポンと手を打って笑った。
「これはバ」
「聞いてない聞きたくない」
 ころねの言葉を遮り、小さな生き物は後ろを向く。恥ずかしさで顔も見れないといった様子であった。
「そんな事言わずに、乙女はこれで夜を楽しむッスよ? あ、でも妖精さんのサイズは難しいか~残念ッスね」
 心底悲しそうにするころねに、「残念で結構!」と泣きそうな声が返ってくる。
「ーーとにかく、挨拶もまだだったわね。あたしは妖精エアディアーサ。エアでいいわ」
 くるりと、気を取り直して自己紹介する妖精、エア。
「エアちゃん」
「ちゃんはやめて」
「エアたん」
「それもやめて、なんか気持ち悪い。ああ、もう! エア! エアって呼んで!」
「エア」
「なによ」
 ささやくように呼ばれて、エアはころねをみた。
「呼んだだけッス!」
「用もないのに呼ぶな!」
 なんなんだこいつは、調子が狂う、と、エアはまた暴れだす。
「エア!」
「だから用もないのに呼ばないでーー」
 振り向いたエアは、直後固まった。
 そこには下半身丸出しのころねが、5人ほどの男に囲まれていたのだ。
 それだけ聞くと誤解を招くが、下半身丸出しだったのは元からである。

カテゴリー: 異世界官能小説家まんころね パーマリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>