14、スライムのヌメヌメ

「げへへ、見るッスよエア、この子こんなにイッちゃって……」
 どれほどの時が流れたころだろうか、ころねが振り返ると、そこにエアはいなかった。
 ずいぶん前に逃げてしまっていたのだが、気づかずずっとスライムで遊んでいたのだ。
「ぴぃ……」
「ぴぃ……」
 スライムたちが山になって倒れている。
 そして一番大きなスライムが、その体の一部であろう体液をころねに差し出してきた。
「え? これくれるッスか?」
「ぴぃぴぃ」
「え? あげるからもう許してくれ?」
「ぴぎぃ……」
 差し出されたのは体液のほんの一部であったが、彼らはもうころねの配下であった。
 ふむ、ところねは考え、そして手を打った。
「いいッスね! これ、使えるッスよ!
 そしてスライム諸君! 君たちはこれを定期的にうちの宿に提供するッスよ、さもなければ――」
「ピギィ!!」
 こうしてスライム軍団は、ころねのものとなったのだった。
 任務完了である。

「ただいま帰ったッスよ~!」
 夕刻、元気よく宿に戻ったころねを待ち構えていたのは、青い顔をしたエアだった。
「どうしたッスかエア」
「どうした、じゃないわよ……あんなもの見せられて、あたしは恐怖しか感じないわ」
 頭を抱えて、羽を震えさせながら、机の上で泣いている。
「あんなもの? ああ、スライムのちーーうぐっ」
「ぎゃー! ぎゃー!」
 ちんこ、と言いかけたその口に、エアは固くで長いパンを容赦なく突っ込んだ。
「こんな! 食事の場で! 汚らわしい話をしないで! 勇者の自覚をもって!」
 エアが叫ぶので、なんだなんだと食堂の客たちがこちらを見てくる。
 なんでもないです、なんでもないです、と手をぱたぱたふって笑顔を振りまくエアだったが、その笑顔は引きつっている。
「うぐ、うぐ……むしゃむしゃ…っごく、で、でも、スライムはもう味方に付けたッスよ。ほら、なんかこんなのももらいました」
 突っ込まれたパンを必死に飲み込んで、スライムの献上品を机の上に置いた。
「ひえ! なによこれ!」
「スライムの一部ッスよ」
「こんなの捨ててきて!」
「なに言うッスか、仕事で使うッスよ~」
 ふふん、と笑うころねの頭をぺちりと叩くエア。
「あんたの仕事は勇者だから! 風俗じゃないから!」
「いいじゃないッスか、皆喜んでるし」
「よくない! 勇者が世を乱してどうするのよ。勇者が。あんたはとにかく修行をしなさい」
「夜の修行ッスか! 任せるッスよ!」
「違うわ!!」
 宿屋のおっちゃんは今日も微笑みながら、二人のコントをみていた。
 おっちゃんは感じていた。
 この先、この宿がとんでもないことになっていく未来を。



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