【R18】男になって、叶う恋なんて!(7)

 目覚めても、私は岡野だった。
 いやだ、もう、学校行きたくない。
 ここでずっと寝ていようか。
 ――いや、まろんになっている岡野を監視しなくては、私の評価は下がる一方だ。
 すでに果ての果てまで落ちている気はするが。
 しぶしぶ制服に着替えて(その度に岡野の素肌を見なくてはいけない地獄)、私は学校へ向かった。

 今日も陽キャな男子や怪しいオタクに話しかけられるのを華麗にスルーしながら、岡野の席に座った。
 そして岡野が現れたら速攻そいつの耳をひっぱって、教室の隅に追いやる。
 ――見た目が私なので本当はそんなことしたくないのだが、もうそんなことも言っていられない。
「いたたた!」
「あんた、もうわかってるわよね」
「はぁ? なにが」
 しらばっくれる岡野を、とりあえず一発殴った。
「お、おま、すぐ手出すのよくねえぞ!」
「うるさい! あんたがその、オ……オナ……するたびに、入れ替わってるのはわかるでしょ!」
「は? ――ああ、そういえばそうだな」
「だから、その。あと一回! 一回だけ私でしていいわ! それで元に戻ったら、一生やらないで」
 無茶を言う。
「は……? いや、おう。わかった」
 一瞬予想通りの表情をしたが、少し考えて、岡野はうなづいた。
 口元が、笑っている。
 こ、こいつ私でやらしいことすること想像してるんじゃないだろうな!
 最低だ、一人だけ殺しても罪にならない法律ができたなら、迷いなくこいつを殺したい。
 こいつは、私が予想する最悪の事態よりずっとずっと最悪のことをしてくれる。
 そして今回は、過去の事例をはるかに上回る恐ろしいことをしでかすだなんて、誰が考えられただろう。

「あづき」
 家に帰ろうとした私を呼び止めたのは、さと君だった。
「明日休みだろ、空いてないか」
 魅力的なお誘い。
 さ、さと君とデート?!
 ――って、今私は岡野だった…死にたい。
「うーん、どうだろ明日になんないとわかんないかな」
 適当にごまかした。
 今夜私達は入れ替わる予定だ。
 明日の岡野は岡野なのだ。
 あいつの予定を勝手に決めるのは気が引ける。
「大事な用なんだ、明日迎えにいく」
「はぁ」
 大事な用ってなんだろ。
 気にはなったが、それよりも自分のことである。
 さと君が岡野の元に勝手にくるなら仕方ないだろう。私は頷いて、じゃあ、と手を振った。

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