11、レベルアップ

 こうしてころねは次々を客をさばいていき、桃色宿屋の噂は真実のものとなった。
 人気がでるのはあっという間で、宿屋の前には行列ができていた。
「はいはい、今日はもうあと三人までだよ、それより後ろの人は諦めて帰っとくれ」
 宿屋のおっさんが、行列の整理をしている。
 順番待ちの客はこぞって一階の食堂でお茶をしてくれるため、おっさんもありがたかった。
 しかし、納得いかないのはエアである。
「ころねったら、一体いつ旅にでるのよ! もう十分お金は貯まったはずよ」
 そういえば、とエアはふと思った。
 妖精は、その目で見たものの力や特性をみることができる。
 ころねはどんな特性をもっているのだろうか。
 休憩にやってきたころねをちらりと「見て」みて、エアは悲鳴をあげた。
「ぎゃあああ、ころねレベル高!
 ――そんな馬鹿な、え、えっちなことしてレベルあがってる……!?」
 ころねはすでにレベル30を超えていた。
 レベルだけでいえば立派な中堅冒険者である。
「でもだめよ、レベルが高いだけで実践のない勇者なんて、意味がないわ」
 そしてさらに、特性をみて本日二度目の悲鳴をあげる。
「性的魅力高!! なにその特性! いらんわ!」
 エアの頭は今日も痛い。
「どうしたんスかエア。大きな声出して」
「あんたのことよ!」
 あくびをしているころねの頭を、エアはぺちぺちと殴った。
 彼女的には全力で殴っているのだが、これがまったく痛くもかゆくもない。
「もうだめ! もうエアは怒りました! はい怒りました!」
「ど、どうしたのエアちゃん。キャラがおかしいよ」
 少し動揺するころねの顔面に、エアは小さな用紙を貼り付けた。
「なにするッスか……え、なになに」
 顔面に貼りついた紙を取って、読んでみた。
「えー……なるほど」
「わかった? そういうことよ」
「いや、読めないッス」
「あー! めんどくさい! スライム退治よ! スライム退治の依頼よ!」
 相変わらずあくびを繰り返すころねに、今すぐスライム退治に行くと言い張るエア。
 あまりにしつこいので、ころねも仕方なく頷いた。
 けれど、と付け加える。
「今日のお客さんはちゃんとお相手するッスよ。スライム退治は明日ッス!」
「う……馬鹿なのか真面目なのか……。わかったわ、じゃあ明日よろしくね」
 少なくともこの村を出ることはできるのだ。
 今日までくらいなら、自由にさせてやろう。
 そう自分に言い聞かせて、今日は――今日も、ブラブラ暇をつぶすことにした。



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